歌集からもれた歌(半地下)1

ささくれ

たましいの輪郭すこしささくれて。暗く流れる川をみている

その名前だけはセカイの底にある はるかな夏に開く向日葵

8階の小部屋でランチの封を解く チキンの匂いに少し落ち着く

くちづけに次ぐくちづけで現実を防いでいると月がしろいよ

たましいの底部の傷を探りだす手つきで後ろから抱いている

放尿の音がするどく響く部屋 非常にふかく繋がった後

どうぶつの匂いが一瞬きつくなる髪をいじって遊んでいると

口中の蜜を探っている舌のぬくみを思う雪ふる夜に

 

初出「美志 復刊1号」


どんな歌を佳い歌とするかは、その時その時でちがう。
露悪的になる時の素直な感情のうごきを最近は嫌いじゃない。
しかし、数年後は、また違うかも知れない。