歌集からもれた歌(半地下)3

よく慣れた背中、太股、足の指。触れると今日も寝入ってしまう

靴下も脱いでしまえば薄闇にさだまり難し二人の身体

倦怠は愛を優しくするものか寝入った人の髪を撫でつつ

深みへと滑らせてゆく指先は怒りのような力を秘めて

たましいの宿った肉の突端が人の気配にひどくざわめく

水中に手を潜らせる細胞の欠片を集めるようなしぐさで

きんいろの栗のごはんを盛りながら待っているのは家のひとたち

黙々とみかんの皮をむいている今日は小さな失望があって

輪郭がゆんわり混ざる肝心なところでふかくつながる秋夜


ささやかなブログとはいえこうして発表するのは、歌集から外しておきながら、根っこの処では、これらが悪い作品とは思っていないからだ。

しかし、仮に自分以外が一首目のような作品を出してきたとしたら、良い顔をしないと思う。
他人がこういった作品を出してきた時、自分が何を言うかも見当がつくから、収録を避けたのだろう。

思い入れの深い歌だ。
どう受け取られるのであれ、作者の思い入れの深さだけは伝わりそうだ。