Monthly Archives: 9月 2014

【お知らせ】第3歌集「みずからの火」について

2018年6月 わたしの第3歌集「みずからの火」を上梓しました。

みずからの火

【みずからの火・収録歌】

ひかる街のけしきに闇の総量が差し込んでいる 空に月球

しっとりと感情帯びて内がわへ腐りはじめる黄薔薇も家具も

濃霧ひとりオリジン弁当に入りきてなすの辛みそ炒め弁当と言う

生きのびて来た知恵と云い各々のたこ焼きの中とろとろの熱

地下道のコンクリートに罅深く或る情念のごとくに栄ゆ

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半地下

【半地下・収録歌】

しらじらと無瑕疵の月は照りており関係の根は底へ伸びいて

店頭に積まれたゼリー透きとおり桃の欠片(かけら)を宙に浮かべる

美しくカーブしている肋骨の内がわに建つ薄明の城

愛されている耳の裏見せながらしずかに水を飲んでいる人

族あがりの人と平行線のまま眺める古いプロパンガス屋

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神の翼

41d-P+U2GXL

【神の翼・収録歌】

熱心に君は何かを話してる 幼女のように髪しめらせて

海音にふたりの部屋は満たされてもういい何も話さなくても

ため息のしめり方まで似通って たとえばキスの終わったあとの

空想は止めようがない 夜の空昼の自転車朝のハチミツ

単純でいて単純でいてそばにいて単純でいてそばにいて

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2014年9月

 

オロナミンCの茶色いガラス瓶初夏の車中に光を散らす

肌の上に浮き出る汗のきらめきにラメ混じらせて初夏のひと

不安定なかたちの背中しろく浮く闇にたやすく交じる雨音

おごそかに糸引く別れあった駅あっさり通過する夏が来て