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2019年4月

青びかりするトラックが冬の日の住宅街にきわめて露わ

夕かげを静かに浴びて美しい崖のごとしも解される家

この先の闇のうれしさ日を追って解されてゆく家屋のすがた

肋骨のカーブに風の通うほどやさしい夜のせり上がり方

 

 

月代9

いくぶんか濁りを帯びた月光の苦みに気づいていない口づけ

気づいてはいない頬笑み草むらの密な処に秋雨が差す

雨つぶの光またたくほんのりと明るく広い秋空のもと

おそ夏のさわだちのなか何となくひんやりとした手を重ねあう

しろがねの心音のごと澄みながら虫の音ひびく暗やみの家

(2018年9月ごろ、未発表)