Monthly Archives: 1月 2020

pops11

おんがくのように降りつぐこな雪を指さしながら笑うひとたち

損傷した果実のような気がかかりが冬の夕べに約束される

眼底の少しさみしい閃きは萌黄のビーチガラスみたいで

ガラス戸に薄く映っているひとは本をひらいた 髪かきあげて

雪みちに浅い足あとつけながらメロンソーダのグミ分けながら

唐突にふたり笑った 甘い粉にまみれた指をピンと開いて

みるく色に空はこごって初めての雫で頬を濡らしたらきみ

幾つもの色を重ねてきみっぽい準急電車の引き裂く向こう

星々が重いほてりを示すからとても死んで欲しいキス

(2019年11月ごろ、未発表)

淡い骨組み

火のなかの昏く溜まった血のなかの淡い骨組みゆらめいている

ベランダのか細い柵に赤茶けた錆がさかえる今日のひぐれも

傷ぐちがすこし開いているようで日暮れのあかい街並みのよう

葉をおとす木立の道を肩ならべ歩いた 皮膚をこわばらせつつ

自販機の取り出し口に落ちてきたペットボトルにゆれている水

あお空にほどけつづけるわた雲の消え失せそうな部分は光

淡いかげわずか重なっているところ予兆のように密度が濃くて

美容院のガラスにうつる車たちときたま銀をひらめかせつつ

(2019年11月ごろ、未発表)

砂金

ものの翳くらく匂える教室に駆けているひと砂金こぼして

はつ夏の砂金のようにきららかな髪なびかせているはずのひと

薄墨の雲を遥かに張りながら海ばらとうに死んでいるから

海原は鈍くきらめき時々は君を笑かす仕方知ってる

純水のなみだは散って優しげな墓を成しゆく草むらの奥に

身の熱を甘く遺してあかい夕 髪の筋目にひかり編まれて

あかい夕 くらい血汐にひたされてここにいて人よ清い息づき

あかい夕 翳に囲われしらしらとふたりは優しい墓としてある

ほそい手に鉱脈みたく埋まったしら骨たどる目を覚ますまで

たましいの擦れあうたびに散らかった砂金さみしい夏のうす闇

たましいは擦れあうからもうつらい散った砂金を眺めるばかり

(2018年7月ごろ、未発表)