スーパーの薄い袋を柑橘で充たして運ぶ春浅い夜に
両岸はさくらの盛り 水面にみすぼらしくない二人が映る
薄らかで苦い月光しらじらとおんなの脚のかたちを照らす
粘っこく不思議に甘い体温を纏(まと)って笑う大いなる人
月光はゆきとどいている薄白い耳のかたちが闇に浮かんで
熱源に二人で成って寝室のいい気な愛に語尾湿らせる
結んでは消える魂はるかなる河辺になだれ咲く花の下
『美志』4号 2013年
スーパーの薄い袋を柑橘で充たして運ぶ春浅い夜に
両岸はさくらの盛り 水面にみすぼらしくない二人が映る
薄らかで苦い月光しらじらとおんなの脚のかたちを照らす
粘っこく不思議に甘い体温を纏(まと)って笑う大いなる人
月光はゆきとどいている薄白い耳のかたちが闇に浮かんで
熱源に二人で成って寝室のいい気な愛に語尾湿らせる
結んでは消える魂はるかなる河辺になだれ咲く花の下
『美志』4号 2013年