Category Archives: 2026年の短歌

ここ最近の短歌作品

※抄出

美志24号

うす墨の気圏とまちをむすび降る雨の全ての粒子のひかり

世の中に抱擁されているはずの人も時にはきりぎしになる

どの人を思うときでもほのぼのと寄り添っている仄かいちにん

否みつつ否まれながらくきやかなかたちを結ぶ黒蝶といる

むらさきの微塵を帯びた霧おりてきて深部まで侵していった

うす黒い雲と路面のあいだには成り立ち露わな銀の自転車

「未来」2026.5月号

ディスプレイの光を含み夕霧は包囲している地元の町を

(チャーミング)とてもゆっくり転がってカメラの方へ両手を振った

責めている人のマイナス感情に晒されながら笑ってみせた

冬草は雪に埋もれてゆめをみる思い違いの花咲かすゆめ

「未来」2026.4月号

ほんとうに人生が難しすぎると本当につぶやきながら階段おりる

やさしさの少しも出ない戸惑いのふるさとの枝雪にうもれて

やさしくて何しろ気付かずとりあえずヒトのかたちはしてるンだから

俺のいい傘とったのか間違っていい傘とったふりをしたのか

新年くらいは笑顔でいたい人たちのやさしく気味の悪いばかりで

「未来」2026.3月号

パブリックエネミーじゃんと哄笑のお湯に浸かった賑やかな麺

薄皮を剥いたらちゃんとEVILでみすぼらしくないわれわれがいた

死んだ葉を放埓に撒き散らす樹は手厚くメンテされてるじゃない

落ちてきた人のかけらが散らかって自転車置き場だるい雰囲気

ここ最近の短歌作品

社会をうたったものが増えた。 ※抄出

「未来」2026.2月号

嘘ならばなおよい人をおとしめる悪意の笛はそえられている

純粋な虚偽であるゆえ純粋な悪意に人は鈴なりになる

フロアーに張り巡らされて権益は人間くさい賑やかないろ

あざけりの笑い漏らしてしまったと横目で見たらみんなも笑う

階層に忍び笑いはひろがって笑われている好意によって

いつからの疼痛だろう秋の夜のゆびの先から重みを帯びて

とどこおる処はやがて痛みだすくぐもる音を発する患部

「未来」2026.1月号

疾風になぶられているようにしてときに自分の意思で揺らめく

狭所からいてで狭所へ入りゆくはやぶさ号の流線型は

背もたれを倒すといって声かけるやさしく深く拒絶するため

距離つめて後ろをはしる気のせいであるかのような漆黒として

ぼんやりと眺めるひとの財布から今日も小銭をかすめとるもの

「未来」2025.12月

久々に霧晴れ渡り現実の詳しく見えてしまうさみしさ

お前といる不愉快さでさえ消え失せる旨さのカレーうなずきながら

とりあえずお前が足をどけたなら話をきこう向日葵畑

ようこそ嗜癖の森へ 願望の茂りやさかな言の葉あふれ

日本の人(抄) 「短歌往来」2025.10 

あかるさのきびしく支配する夏に行き交う日本の人

屈託のほの見えるから僕たちのようでうれしい日本の人

裡ふかく炎症そだてあげながら向日葵茂りたつ夏にある

焼きビーフンに噎せてるふりをして叫ぶお前の足が邪魔なんですわ