2019年4月 2019年8月12日 2019年の結社誌の作品 owner 青びかりするトラックが冬の日の住宅街にきわめて露わ 夕かげを静かに浴びて美しい崖のごとしも解される家 この先の闇のうれしさ日を追って解されてゆく家屋のすがた 肋骨のカーブに風の通うほどやさしい夜のせり上がり方
月代9 2019年8月4日 拾遺、漏れた歌 owner いくぶんか濁りを帯びた月光の苦みに気づいていない口づけ 気づいてはいない頬笑み草むらの密な処に秋雨が差す 雨つぶの光またたくほんのりと明るく広い秋空のもと おそ夏のさわだちのなか何となくひんやりとした手を重ねあう しろがねの心音のごと澄みながら虫の音ひびく暗やみの家 (2018年9月ごろ、未発表)