社会をうたったものが増えた。 ※抄出
「未来」2026.2月号
嘘ならばなおよい人をおとしめる悪意の笛はそえられている
純粋な虚偽であるゆえ純粋な悪意に人は鈴なりになる
フロアーに張り巡らされて権益は人間くさい賑やかないろ
あざけりの笑い漏らしてしまったと横目で見たらみんなも笑う
階層に忍び笑いはひろがって笑われている好意によって
いつからの疼痛だろう秋の夜のゆびの先から重みを帯びて
とどこおる処はやがて痛みだすくぐもる音を発する患部
「未来」2026.1月号
疾風になぶられているようにしてときに自分の意思で揺らめく
狭所からいてで狭所へ入りゆくはやぶさ号の流線型は
背もたれを倒すといって声かけるやさしく深く拒絶するため
距離つめて後ろをはしる気のせいであるかのような漆黒として
ぼんやりと眺めるひとの財布から今日も小銭をかすめとるもの
「未来」2025.12月
久々に霧晴れ渡り現実の詳しく見えてしまうさみしさ
お前といる不愉快さでさえ消え失せる旨さのカレーうなずきながら
とりあえずお前が足をどけたなら話をきこう向日葵畑
ようこそ嗜癖の森へ 願望の茂りやさかな言の葉あふれ
日本の人(抄) 「短歌往来」2025.10
あかるさのきびしく支配する夏に行き交う日本の人
屈託のほの見えるから僕たちのようでうれしい日本の人
裡ふかく炎症そだてあげながら向日葵茂りたつ夏にある
焼きビーフンに噎せてるふりをして叫ぶお前の足が邪魔なんですわ

