失敗すること2

岡井隆から学んだのはその作風というより、失敗する事の大切さだと思う。
岡井隆は上手い歌人だが、失敗をする歌人でもある。
自身の不得手な表現の仕方に挑んで、結構しくじる。
ひとところにとどまりたくない、失敗は当たり前、自身の表現をどんどん拡張していく。

わたしの学んだことの全ては彼のこういった姿勢ではないかと思う。

岡井隆に学んだ歌人の多くに対して、私は歌が「上手」という印象を持たない。

長くやっていれば、だれでもそれなりに「上手」になれるのが短歌という表現なのに。
彼らはひとところにとどまって同じやり方をトレースし、「上手」い歌を作り続ける事ができないのだ。
完成した時点で、あるいは完成が見えてきた時点で、その表現の手法やテーマは興味の対象から外れ、新しいものへと関心が動きつづける。

それだから私も「上手」ではない、
とは言わない。
といってもちろん「上手」いとも思わないが。
私は失敗することを岡井隆から学んだが「上手」に対する志向性が強い。
民芸品の職人のようにある手法を幾度もトレースして「上手」になるのが好きである。

 

ところで、多くわたくし事をぶつぶつと書いている。
他人の歌も今は引用しない。こういうブログがあっていい。