火のなかの昏く溜まった血のなかの淡い骨組みゆらめいている
ベランダのか細い柵に赤茶けた錆がさかえる今日のひぐれも
傷ぐちがすこし開いているようで日暮れのあかい街並みのよう
葉をおとす木立の道を肩ならべ歩いた 皮膚をこわばらせつつ
自販機の取り出し口に落ちてきたペットボトルにゆれている水
あお空にほどけつづけるわた雲の消え失せそうな部分は光
淡いかげわずか重なっているところ予兆のように密度が濃くて
美容院のガラスにうつる車たちときたま銀をひらめかせつつ
(2019年11月ごろ、未発表)